破折リーマーとは?
根管治療では、歯の内部にある「根管」という細い管を清掃・消毒するために、「ファイル」と呼ばれる針のような専用器具を使用します。
しかし、このファイルは非常に細く、繰り返し使うことで金属疲労が起こったり、複雑に曲がった根管に強い力がかかったりすると、途中で折れて根管内に残ってしまうことがあります。
この状態を「破折リーマー」と呼びます。
破折したファイルが根管内に残ってしまうと、その先の根管治療を適切に進めることができなくなる可能性があります。
破折リーマーが残るとどうなる?
根管の中に破折リーマーが残ってしまうと、治療に必要な清掃や消毒が十分に行えません。
その結果、次のようなリスクが高まります。
根管治療の成功率が下がる
器具が詰まっている部分より先の感染部位に届かなくなり、細菌が取り残される可能性があります。
感染が残り、腫れや痛みを繰り返す
根の先で炎症が続くことで、治療後も違和感や痛みが再発することがあります。
再治療や抜歯の可能性が高まる
感染が広がると再度の治療が必要になったり、最終的には歯を失うリスクもあります。
破折リーマーは決して珍しいことではありませんが、適切に除去しなければ歯の寿命に大きく関わる問題となります。
破折リーマー除去治療とは?
根管治療の途中で器具が折れて残ってしまった「破折リーマー」を取り除く治療を「破折リーマー除去治療」と呼びます。破折リーマーが根管内に残ったままでは、感染源を完全に取り除くことができず、根管治療の成功率が大きく下がってしまいます。
そのため、歯を残すためには破折リーマーを安全に取り除く処置が必要となります。
その根管内に残った破折リーマーを除去することは、根管治療において最難関とも言われ、高い技術が必要になります。
全国でもリーマーを除去できる歯科医師は、数少ないのが現状です。
当院では以下のような体制で、精密かつ安全に破折リーマーの除去を行っています。
POINTCTによる事前精査

歯科用CTで根管の形や破折リーマーの位置・長さを三次元的に把握します。従来のレントゲンだけでは見えなかった細部まで確認できるため、治療のリスクを減らし、より確実な除去計画を立てられます。
POINTマイクロスコープでの精密治療

マイクロスコープを使用することで、患部を肉眼の数十倍まで拡大して確認可能です。
暗く細い根管内も鮮明に観察でき、破折リーマーを見逃さず、周囲の歯質を余分に削らずに治療を進められます。
POINT専用器具で少しずつ除去

超音波チップなどの専用機器を駆使し、破折リーマーを少しずつ削り出すように取り除きます。
力任せに除去するのではなく、歯をできるだけ削らないよう細心の注意を払いながら処置を行います。
POINT高度な専門性が求められる治療

破折リーマー除去は、根管治療の中でも特に難易度が高い治療です。
高度な設備と熟練した技術がなければ成功が難しく、一般的な歯科医院では対応が難しいケースもあります。
当院では専門的な知識と設備を整え、できる限り歯を残すことを目標に治療を行っています。
根管治療について詳しく
治療の流れ
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01CT・マイクロスコープによる診査診断
歯科用CTで三次元的に確認し、破折リーマーの位置や長さ、根管の状態を詳しく調べます。マイクロスコープで視認し、治療の難易度を判断します。
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02除去の可能性やリスクをご説明
診査結果をもとに、除去が可能かどうか、また治療に伴うリスクについて丁寧にご説明し、ご理解いただいたうえで治療を進めます。
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03マイクロスコープ下での除去処置
拡大視野を確保した状態で、超音波チップなどの専用器具を用いて、破折リーマーを少しずつ慎重に取り除きます。
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04根管内の消毒・薬剤充填
破折リーマー除去後は、感染源を徹底的に除去し、根管内を消毒。薬剤を充填することで再感染を防ぎます。
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05最終的な修復処置
根管治療の完了後、被せ物などで歯を補強・修復します。これにより歯の機能を回復し、長期的に健康な状態を維持できるようにします。
破折リーマーを除去している動画
再根管治療を行うと破折した器具が残っていた患者様
| 症状 | 破折した器具が残っている |
|---|---|
| 費用 | 感染根管治療:¥143,000 リトリートメント:¥44,000 破折リーマー除去:¥55,000 MTAセメント:¥44,000 ファイバーコア:¥33,000 オールセラミックス:¥176,000 |
| 備考 | メリット:歯を残す事でができる デメリット:歯科医師に高い技術が求められる |


