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歯の根っこが割れた原因と治療法を解説
私たちの歯は、根っこの部分が歯ぐきの中に埋まっています。お口の中に出ているのは頭の部分だけなのです。そのため歯に外傷を負った時に目で確認できるのは頭の部分だけで、根っこの異常は歯科医院でなければわかりません。今回はそんな歯の根っこが割れた時の症状や原因、治療法などを詳しく解説します。
歯の根っこが割れる?
歯が割れる現象は、歯冠破折(しかんはせつ)と歯根破折(しこんはせつ)の2種類に大きく分けられます。歯冠破折は、歯の頭の部分が割れた場合を指し、肉眼で確認することができます。歯冠の尖端が少しだけ欠けた場合も放置するのは良くないので、まずは歯医者さんに診てもらいましょう。
歯根破折は、歯の根っこが割れた場合を指す言葉で、歯に違和感やむずむずした感じ、被せ物が取れる、歯ぐきに白いできものが生じる、といった症状が現れます。転倒や事故などで外傷を負った際には激痛が走ることもありますが、自覚できないような軽い症状にとどまるケースも珍しくありません。歯根破折は肉眼で確認することができないため、何となく大丈夫だろうと自己判断しがちです。その結果、重症化させてしまうこともあります。
ちなみに、日本人が歯を失う原因第3位は「歯の破折」です。歯周病(第1位)や虫歯(第2位)に次ぐ歯の喪失理由となっている点に驚かれた方もいらっしゃることでしょう。とくに歯根破折は、重症化させることで歯を失うリスクも高まるため、十分な注意が必要です。
歯根破折の原因
歯の根っこが割れた場合、次のような原因が考えられます。
歯の外傷
歯の根っこが割れた場合の原因として、最もイメージしやすいのは「歯の外傷」ですね。スポーツをしている時や転んだ時に顔面を強打すると、歯に強い圧力がかかります。その結果、歯冠や歯根が割れることは多々あります。アイスホッケーやアメリカンフットボール、ボクシングなどでマウスガードの着用が義務付けられているのは、そうした歯の外傷を防ぐ目的もあるのです。
根管治療後の歯
根管治療では、歯の神経と血管で構成された歯髄を抜く「抜髄(ばつずい)」を行った上で、根っこの中を清掃します。歯髄を失った歯は脆くなるため、さまざまな理由で割れやすくなるのです。そもそも根管治療が必要となる歯は、それまでに虫歯治療を繰り返していることが多く、破折を起こしやすくなっている点に注意しなければなりません。
金属の土台
根管治療後に設置した金属の土台が歯根破折の原因となることもあります。金属はとても硬くて丈夫な素材ですが、土台の形が良くなかったりすると、歯に過剰な負担がかかって破折を招きます。ちなみに自費診療で入れることができるファイバーポストは、歯質に近い柔軟性を持っていることから、歯根破折のリスクは低くなります。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
歯ぎしりや食いしばりによる圧力は、成人男性で60~100kgに及ぶといわれています。それだけ強い力が歯に対して慢性的に作用していると、ある日突然、歯根が折れてしまうことがあるのです。普段から歯ぎしり・食いしばりといった悪習癖がある方は、できるだけ早く改善するのが望ましいといえます。かみ合わせが悪くて、一部の歯に強い力がかかっている場合も要注意です。
歯根破折の治療法
歯根破折の治療法は、歯の割れ方によって変わってきます。
歯根が垂直的に割れた場合
歯に対して垂直的な破折線が生じている場合は、治療で歯を保存することが難しいです。なぜなら、もうすでに細菌感染が根っこの先の方まで広がっている可能性が高いからです。また、垂直的な歯根破折は、修復などの処置が困難であるため、抜歯が第1選択となりやすいです。歯を抜いた後は、ブリッジ・入れ歯・インプラントのいずれかの方法で補綴(ほてつ)治療を実施します。
歯根が水平的に割れた場合
歯に対して水平的な破折線が生じている場合は、治療で歯を保存できる可能性が高いです。比較的浅い位置で歯根が割れた場合は、お口の中から接着操作などを行えます。これを専門的には、「口腔内接着法」といいます。比較的深い位置で歯根が割れた場合は、口腔内で操作するのが困難となるため、一度、抜歯をしなければなりません。歯を抜いた上で割れた部分の接着操作を行い、元の位置へと戻します。これを「口腔外接着法」といいます。口腔外接着法の場合は、歯を抜いて再植するというプロセスが含まれることから、1か月程度は固定しなければなりません。その1か月間は、歯に対して過剰な負担をかけないよう、配慮する必要があります。
まとめ
今回は、歯の根っこが割れた場合の症状や原因、治療法を解説しました。歯根破折は外傷以外でもいろいろな原因で起こり得る現象なので、歯や歯ぐきに何らかの違和感や症状が現れたら、すぐに歯科を受診しましょう。治療をするのが遅れたり、歯根の折れ方が悪かったりすると、抜歯を余儀なくされるのが歯根破折です。強い痛みがないからといって軽視せず、早めの受診を心がけましょう。
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