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歯科コラム

マイクロスコープによる根管治療のメリットを解説

近年は、歯科の先進国アメリカと同様、日本でも治療分野の細分化が進んできています。現状はまだまだ数は少ないですが「歯内療法(しないりょうほう)」だけを行っている歯科医院が存在していることをご存知でしょうか?これは簡単に説明すると、根管治療だけを行っている歯医者さんで、マイクロスコープによる精密治療を得意としているケースがほとんどです。今回はそんなマイクロスコープの特徴や根管治療に活用するメリットについて詳しく解説します。

 

根管治療とはどんなもの

根管治療とは、歯の根っこの中心部分にある根管をきれいに清掃する処置です。それだけを聞くと、根管治療がどんなものかイメージしにくいかと思いますので、まずは根管治療が必要となる症状について解説しましょう。

根管治療が必要になる症状

虫歯は進行する過程で、エナメル質と象牙質を溶かしていきます。そうして生じる歯の穴をう窩(か)と呼びます。う窩が水平的に広くなるだけならそれほど深刻な症状には発展しないのですが、垂直的に深くなると歯の神経にまで達してしまいます。その結果、歯の神経が虫歯菌に感染して、根管治療が必要となるのです。

根管治療の手順

一般的な根管治療は、歯の神経である歯髄(しずい)を抜くことから始まります。専門的には抜髄(ばつずい)と呼ばれる処置で、クレンザーという専用の器具や電動の回転器具などを使って抜き取ります。その後は根管内をファイルやリーマー、消毒薬などを用いて清掃していきます。根管内の細菌がきれいになくなり、無菌化に成功したら根管治療は完了です。

 

根管治療には保険と自費がある?

上段では、根管治療の手順を大まかに解説しましたが、実は保険診療と自費診療とでは、異なる点がいくつかあります。

治療時間と通院回数の違い

保険診療では、1回あたり30分程度の時間しかかけられません。それは根管治療に限ったことではなく、すべての歯科治療に共通していえることです。自費診療にはそうした時間的制限がないことから、1回の治療で多くの処置を施すことが可能です。そのため保険の根管治療では4~5回の通院が必要なのに対し、自費では2~3回で歯の根の処置を終わらせることも可能なのです。

治療にかかる費用の違い

保険診療は1~3割負担で根管治療が受けられます。自費診療の場合は文字通り根管治療の費用を全額自己負担しなければなりません。

検査・診断の違い

保険診療の検査では、原則としてレントゲンを使用します。レントゲンは一般的な虫歯治療でも広く活用されている有用な装置ですが、2次元的な画像しか得られません。一方、自費診療では3次元的な画像が得られる歯科用CTによる精密診断が可能となっています。CTスキャンによって得られた画像は、根管の本数や構造なども精緻に観察できることから、根管治療の精度も自ずと向上します。

器具・機材の違い

保険診療の根管治療では、歯科医師が肉眼で根管内を観察しながら、処置を進めていきます。使用できる器具もリーマーやファイルといった一般的なものだけです。その点、自費診療の根管治療では、歯科用顕微鏡であるマイクロスコープを活用できます。根管内の汚れを取る器具も「ニッケルチタンファイル」という柔軟性に優れた高価なものを使用できます。根管充填に使う薬剤も封鎖性や殺菌性に優れたものを使える点が自費の根管治療の大きなメリットといえるでしょう。

 

マイクロスコープを根管治療で使うと?

アメリカでは、歯内療法(根管治療)専門の歯科医師が驚くほどたくさんいます。それは根管治療の重要性が広く知れ渡っているからでしょう。日本でも歯並びの治療は矯正専門の歯科医師に任せるのが一般的となっていますが、根管治療に関してもアメリカでは同様の考え方が普及しているのです。そして、冒頭でもふれたように、根管治療専門の歯科医師は必ずといって良いほど、マイクロスコープを活用した処置に熟達しているものです。

見えなかったものが見えるようになる

根管というのは本来、入り口の部分しか見ることができません。根管口と呼ばれる穴が黒い点として見えているだけなのです。その中は細く、暗く、複雑に入り組んでいる場合もあります。それを半ば盲目的に治療していくのが保険の根管治療なのです。マイクロスコープを活用した場合は、まず根管を明るく照らすことができます。視野も肉眼の数十倍にまで拡大されるため、今まで見えなかったものが見えるようになるのです。その結果、根管の壁を傷付けたり、汚れを取り残したりするリスクを大幅に減らせます。

こんな方におすすめ

マイクロスコープを活用した根管治療は、通常の処置では難しいと診断された、同じ歯を繰り返し再治療している、何回治療しても症状がなくならない、といったケースにおすすめといえます。とくに歯を保存する可能性をできる限り追求したい方は、マイクロスコープを活用した精密根管治療を選択した方が良いでしょう。

 

まとめ

このように、マイクロスコープを使った根管治療は、驚くほど多くのメリットを伴います。歯科の先進国のアメリカではマイクロスコープの重要性が周知されており、肉眼で根管治療をすることの方が珍しいといえます。とくに歯を残せるか否かというケースでは、マイクロスコープを活用した精密根管治療を行える歯科医院を探した方が賢明といえるでしょう。歯の根の治療は皆さんが考えている以上に重要なものなので、歯科医院選びは慎重に行うことが大切です。