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歯科コラム

子どもの過蓋咬合の原因・治療法・予防法を解説

子どもの過蓋咬合は、子どもの成長に深刻な悪影響をもたらすことがあるため、適切な時期に治療するのが望ましいです。今回はそんな子どもの過蓋咬合の原因や治療法、予防法について詳しく解説します。

 

過蓋咬合って何?その原因は?

●かみ合わせが著しく深い歯並び
かみ合わせが深い状態を「過蓋咬合(かがいこうごう)」といいます。かみ合わせた時に、上の歯列が下の歯列を覆い隠すため、“過蓋”という少し変わった名前がつけられています。過蓋咬合は、大人でも見られる歯並び・かみ合わせの異常ですが、子どもに見られた場合は、より一層の注意が必要となります。

●子どもの過蓋咬合の原因
子どもの過蓋咬合は、以下のような原因が考えられます。
・上の顎の骨が大きい
・下の顎の骨が小さい
・上の歯が大きい
・お口周りの筋肉が過剰に緊張している
・上の前歯が過剰に萌出している
・奥歯がきちんと生えていない(萌出不足)
・指しゃぶりや口呼吸、舌癖などの悪習慣がある

 

●過蓋咬合による悪影響
子どもの過蓋咬合を放置すると、歯や顎の発育にまで深刻な悪影響が及びます。まず、上下の歯列が正しくかみ合っていないことから、噛む力が衰えて、そしゃく能率の低下を招きます。とくに下の顎の成長が抑制されてしまう点に注意しなければなりません。また、噛む度に下の前歯が上の前歯の裏側と接触したり、歯ぐきを突き上げて炎症を起こしたりするリスクも伴います。その他、顎関節症や発音障害、そしゃく不良による胃腸障害などを引き起こすこともあります。

 

過蓋咬合はどうやって治療する?

●骨格的な異常を治す方法
上下の顎のサイズや位置のアンバランスが原因で過蓋咬合となっている場合は、マウスピース型の装置などを使って顎骨の成長を正常に促します。例えば、下顎骨の幅が狭いケースでは、専用の装置を使って側方への拡大を試みます。下の顎が後方に位置していることで過蓋咬合になっているケースでは、マウスピース型の装置で下顎を前方に誘導します。いずれも取り外し式の装置であることから、日常生活への影響は最小限に抑えられます。

●歯並びや習癖を治す方法
過蓋咬合の原因が歯並びや悪習癖である場合は、インビザラインファーストのようなマウスピース型矯正装置が有効です。

○インビザラインファーストとは
インビザラインファーストとは、子ども用のマウスピース型矯正装置です。透明な樹脂製のマウスピースを使って、歯並びやかみ合わせを改善します。標準的な大人のインビザラインとは異なり、顎の発育を正常化する作用も期待できます。日常的にマウスピースを装着しているため、指しゃぶりや舌癖なども自ずと改善されていきます。もちろん、今回のテーマである子どもの過蓋咬合も治療できます。

○インビザラインファーストの適応年齢
インビザラインファーストは、子どもの歯と大人の歯が混在する「混合歯列期」が対象となります。厳密には、7~9歳くらいから始めるお子様が多いです。これはインビザラインファーストを始める上で、歯の生え変わり状況に細かい規定があるからです。過蓋咬合でインビザラインファーストを始める年齢や時期というのは、お子様の発育状況によっても変わってきますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

過蓋咬合にならないためには?

●過蓋咬合になりやすいタイプの子の特徴
過蓋咬合は、日常の習慣で誘発されることが多いです。とくに集中力のある子は要注意といえます。
・お口周りの筋肉を緊張させる癖がある
・いつも猫背になっている
・手先を動かす細かい作業が好き
・無口であまりしゃべらない
・お茶碗を手に持たずに“犬食い”をしている
・両手で頬杖をつく癖がある
この中でひとつでもお子様に当てはまる習慣が見られる場合はご注意ください。そのまま放置すると、過蓋咬合が促されていきます。

●子どもの過蓋咬合を予防する方法
子どもを過蓋咬合にさせないためには、次のようなことに取り組みましょう。

○お話をたくさんする
お話をすることは、お口周りの筋肉の緊張を緩めたり、下の顎の発育を促したりすることで、過蓋咬合の予防に寄与します。心の発育にも良い影響をもたらすことでしょう。

○大声を出しながら活発に遊ぶ
鬼ごっこやだるまさんが転んだなどは、子どもが大声を出しながら全身運動を行えます。遊んだ後はお腹がすいてご飯をたくさん食べられるので、顎の発育にも良い影響が現れます。

○正しい姿勢でご飯を食べる
ご飯を食べる時は猫背にならず、正しい姿勢を維持できるようにしましょう。お茶碗をしっかり持って、犬食いにならないよう注意しなければなりません。食事以外の時も正しい姿勢を心がけることが大切です。

 

まとめ

このように、子どもの過蓋咬合は悪習慣が発端となって誘発されることが多く、日常的な見守りが重要となってきます。もうすでに過蓋咬合になってしまった場合は、歯並びと骨格的な異常の両方に効果が見込めるインビザラインファーストで治療すると良いでしょう。インビザラインファーストは、小児期の限られた期間にしか使用できない装置なので、矯正相談は早めに受けるようにしてくだい。インビザラインファーストは原則として自費診療となりますが、大人のインビザラインよりも安い費用で受けられます。